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講座7 乳児の身体・眼・手の運動発達から考える保育の手立て

講師:野藤 弘幸​ 全6回 各40分 / 2023年配信講座



ひとが生まれ、そこから言葉を発することへと至る発達は、自分の身近にいるひと、周りにある物事に対して、「何だろう」と関心を持ち、「見たい」とまなざしを向け、より「近づきたい」と身体を動かし、「手にしたい」と手を伸ばし、把握し、指で扱い、そしてもうこれ以上「手が届かない、でも何だろう、知りたい」と感じた思いを「伝えたい」、そこで指さし、得た経験を「言葉」として「語る」という過程です。これは、「何だろう(知的好奇心)」「見たい(眼球運動)」「近づきたい(身体運動)」「手にしたい(手指機能)」「伝えたい(社会性)」「語る(言葉)」、これらの発達が結びつくことを意味します。本講座では、身体・眼・手の運動発達を、保育で必要な範囲で簡潔にお話しし、遊びや食事への具体的な手立て、さらには発達障害のこどもで見られる運動や手の機能の問題と対応についてもお伝えします。


タイトル

内容

第1回
身体の運動発達① 新生児から寝返り
新生児は、重力に抗して身体を持ち上げることができません。やがて3カ月頃、うつ伏せでは両手で身体を支え、周りを見るようになります。6カ月頃になると、寝返りをします。ここまでの運動の発達が、その後、園庭の遊具で遊ぶために必要です。幼児の身体の動きと、寝返りまでの発達を関連付けてお話しします。
第2回
身体の運動発達② 這うから歩行
ひとの身体にある筋肉は、いくつかの種類に分けられます。這う・歩くためには、持続して身体を支え、動かす筋肉の役割が大切となります。そして机上遊びの時、運動遊びのとき、これらの筋肉のはたらきが発揮されます。こどもの将来の楽しい活動につながる運動の遊びについて、提案します。
第3回
手の運動発達① 新生児から手つかみ
6カ月頃、うつ伏せで、両手を開き身体を支え、周囲を見渡します。この時、手首で身体を支える、一つひとつの指を分けて力を入れる、という経験をします。これが基になって、さまざまなおもちゃを扱うことができるようになります。手指の運動の発達の過程を、保育で使われるおもちゃと併せてお話しします。
第4回
手の運動発達② ペン、カトラリーなど道具の使用
で物をつまむ運動を覚えると、次にスプーンで食事を行うことや、色鉛筆を持って描画をするなど、生活で道具を使います。道具は、自分の身体ではできないことを実現する役割を持ちます。言葉も同じ意味では道具です。言葉の発達と併せて、スプーンや箸の持ち方、その時期についてお話しします。
第5回
眼の運動発達
生後2カ月頃より、ひとや物を積極的に見るよう、眼の運動が始まります。やがて6カ月頃には、おとなと同じように周囲を見ることができるようになります。この眼の運動の発達は、ひととひとが互いに見つめ合うこと、互いに同じ物事に焦点を向けることにも必要です。眼の運動を促す保育の手立てもお話しします。
第6回
利き手の意味、保育で見られる運動の問題と支援
利き手は道具の扱いだけにとどまらず、言葉を使う、図を描く、ダンスをするなど、保育で行われる遊びや行事を楽しむために必要な手です。保育における利き手の捉え方、そしてその利き手が定まってこないこどもの問題をお話しします。そこから発達障害のこどもたちの運動の理由と、対応についてお話しします。


野藤 弘幸(のとうひろゆき)
作業療法士。発達障害、高齢期障害、在宅緩和医療の各領域の作業療法の臨床、常葉大学保健医療学部教授を経て、現在はおとなが育てにくいと思うこどもたち、その保護者の相談と、そこに関わる保育者への研修を行う。著書に『発達障害のこどもを行き詰まらせない保育実践 ーすべてのこどもに通じる理解と対応ー』(郁洋舎)。

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