2023年2月28日に発行された『絵本 ーこどもと語り合う道具ー』が想像以上のご反響をいただきまして重版されました。本書は、2022年に開催した全10回のオンライン講座「絵本の魅力を問い直す 〜絵本はどのような役割を果たしているのか?〜」(※)を軸に、松本崇史さんと鈴木健司さんと藤田進編集長の3人で、書籍化したものです。増刷を記念して、3人でいろいろ話してみました。よろしければ、お付き合いください。
※講座「絵本の魅力を問い直す 〜絵本はどのような役割を果たしているのか?〜」は2023年度も受講いただけます。講座詳細はこちら 。
藤田進(以下、進):いや〜、『絵本 ーこどもと語り合う道具ー』が増刷されましたね。わずか2カ月で初版が完売。ありがたいことです。
鈴木健司(以下、鈴):正直、重版かかると思ってなかったわ。
進:ひとまず、保育現場や絵本周辺の皆さまに、ある程度受け入れていただけたのではなかろうか。
松本崇史(以下、松):どんな反応がある? やっぱり1章?
鈴:1章の絵本の読み方の実践部分はわかりやすいからね。2章の理論とか伝わるといいなぁ。
松:3章は、こどもたちから生まれた実践を載せてるけど、まだ感想とか聞いたことないな(笑)
進:まあ、まだ出版して2カ月だしさ。これからいろんな人に話を聞いてみよう。
松:先日、園でたけのこを掘ったんだけど、この絵本のフレーズを口ずさむんだ。ここにさ、どんな価値を探すかなんだけど。
進:そういうのあるよね。生活が、なんとなく絵本の場面と重なって、同じフレーズを口ずさむ。
松:植物との距離はぐっと近くなるよね。
進:乳児でもそうよね。絵本の本ではあまり取り上げられなかった乳児。
松:乳児は、ものすごく頻繁に起こるね。
あとさ、クラスの色や空気感にも左右されるけど、体験の先に読むのか、あとで読むのかとかを、すごい考えるのよ。
進:先に読むのとあとで読むのとで、そのあとの出来事ってどう変わる? いや、どういう使い分けをするの?
松:変わる。先に読むっていうのは、ある意味では物事に焦点を当てるってことだから、共有が苦手なクラスには合ってるしさ、あと読みは無粋にならないタイプのクラスに読む。
進:無粋にならないって?
松:自分らしいクラスってことかな。邪魔することがあるのよ。
進:何を邪魔するの?
松:こどもからの言葉や表現や発見。満足するために自分の言葉や表現、発見があったほうがいい人もいるし、先に言葉があって、そこから満足して次に進む人もいる。
進:あー、あと読みは体験のあと追いになるから、無粋になりかねないってことね。
松:そうそう。そのあたりは、そのこどものことを知ってる人だけがわかる感覚だね。
進:そうだよね。
松:絵本は活動の導入のためだけにあるわけじゃないからさ、そういう言葉の満足感みたいなの大切なのよ。(つづく)
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