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絵本の本、重版しました!①


2023年2月28日に発行された『絵本 ーこどもと語り合う道具ー』が想像以上のご反響をいただきまして重版されました。本書は、2022年に開催した全10回のオンライン講座「絵本の魅力を問い直す 〜絵本はどのような役割を果たしているのか?〜」(※)を軸に、松本崇史さんと鈴木健司さんと藤田進編集長の3人で、書籍化したものです。増刷を記念して、3人でいろいろ話してみました。よろしければ、お付き合いください。


※講座「絵本の魅力を問い直す 〜絵本はどのような役割を果たしているのか?〜」は2023年度も受講いただけます。講座詳細はこちら


藤田進(以下、進):いや〜、『絵本 ーこどもと語り合う道具ー』が増刷されましたね。わずか2カ月で初版が完売。ありがたいことです。


鈴木健司(以下、鈴):正直、重版かかると思ってなかったわ。


:ひとまず、保育現場や絵本周辺の皆さまに、ある程度受け入れていただけたのではなかろうか。


松本崇史(以下、松):どんな反応がある? やっぱり1章?

:1章の絵本の読み方の実践部分はわかりやすいからね。2章の理論とか伝わるといいなぁ。

第1章 絵本の読み方〈基本編〉, 絵を隠さないように持つ, p19

第2章 絵本って何だろう〈理論編〉, 絵本は「こどもに語りかける物語」でできている, p40

:3章は、こどもたちから生まれた実践を載せてるけど、まだ感想とか聞いたことないな(笑)


第3章 絵本の環境をつくろう〈実践編〉, 造形表現活動, p58

:まあ、まだ出版して2カ月だしさ。これからいろんな人に話を聞いてみよう。


:先日、園でたけのこを掘ったんだけど、この絵本のフレーズを口ずさむんだ。ここにさ、どんな価値を探すかなんだけど。

幼保連携型認定こども園おおとりの森こども園のこどもたち / 『ちいさなかがくのとも2017年5月号 たけのこ ぐんぐん』福知伸夫 さく(福音館書店)

:そういうのあるよね。生活が、なんとなく絵本の場面と重なって、同じフレーズを口ずさむ。


:植物との距離はぐっと近くなるよね。

第3章 絵本の環境をつくろう〈実践編〉, 植物との暮らし, p70

:乳児でもそうよね。絵本の本ではあまり取り上げられなかった乳児。


:乳児は、ものすごく頻繁に起こるね。

あとさ、クラスの色や空気感にも左右されるけど、体験の先に読むのか、あとで読むのかとかを、すごい考えるのよ。


:先に読むのとあとで読むのとで、そのあとの出来事ってどう変わる? いや、どういう使い分けをするの?


:変わる。先に読むっていうのは、ある意味では物事に焦点を当てるってことだから、共有が苦手なクラスには合ってるしさ、あと読みは無粋にならないタイプのクラスに読む。


:無粋にならないって?


:自分らしいクラスってことかな。邪魔することがあるのよ。


:何を邪魔するの?


:こどもからの言葉や表現や発見。満足するために自分の言葉や表現、発見があったほうがいい人もいるし、先に言葉があって、そこから満足して次に進む人もいる。


:あー、あと読みは体験のあと追いになるから、無粋になりかねないってことね。


:そうそう。そのあたりは、そのこどものことを知ってる人だけがわかる感覚だね。


:そうだよね。


:絵本は活動の導入のためだけにあるわけじゃないからさ、そういう言葉の満足感みたいなの大切なのよ。(つづく)




 

鈴木健司(鈴木健司)
関西こどものとも社勤務。よみきかせボランティアサークル三丁目の鷹主宰。兵庫県伊丹市立図書館でよみきかせを学び、以来さまざまな現場で絵本のよみきかせを行う。2022年1月号こどものとも年少版『さんぽにいったバナナ』を福音館書店より出版。

松本崇史(鈴木健司)
鳴門教育大学で保育と絵本を学ぶ。絵本屋を経験し、その後(福)任天会日野の森こども園にて園長を務め、ほとんど事務所におらず現場にいながら、こどもたちと遊びをおう歌している。現在おおとりの森こども園園長。雑誌『げ・ん・き』(エイデル研究所)にて「保育ってステキ」を連載中。

藤田進(ふじたすすむ)
好奇心や探究心をたっぷり使いながらこどもと日々を過ごせるように、そして、こどもとこの地球や社会をどのように分かち合うかを模索しながら、絵本やおもちゃの販売、庭しんぶんの発行、研修事業などを運営中。札幌第一こどものとも社代表。庭しんぶん編集長。3児の父。

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