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えほん開拓史①


今回からは、えほんの党の大阪支部鈴木氏と対談します。いろんな絵本の楽しみ方を実践しながら、こどもと向き合う庭的読書のパイオニア。テーマは「聞くことから始まらない絵本!? です」。

藤田進(以下、進)こんにちは。庭的読書のパイオニアの鈴木さん、今回はどんな話をしましょうか?


鈴木健司(以下、鈴):こんにちは。先日『カレーライス』(福音館書店)を読む時に、家からカレー粉を持っていって、「今から読む本は何かわかる?」ってこどもたちに聞いてみたんです。


ほほう。何でまた?


そこなんですけどね。そもそも絵本に馴染みのない人たちもいるわけです。絵本を体験すらしたことのない大人やこどもが……。僕の経験ですけど、そういう人たちは集団で絵本を読む時にはみ出ちゃうことがある。

絵本を読んでいても聞けない人がいるって意味ですか?


あっ、それそれ!絵本って無意識に「聞く」という入り口をつくっちゃってるんです。それって結構ハードルが高いんですよ。わかりにくいかもしれませんが……。


確かに無意識に「聞く」っていうのを前提にしてました。


でしょ!だから、僕は庭的読書って気に入ってるんです。つまり、庭的ですから五感のすべてが絵本の入り口になる。これまた、わかりにくいかもしれませんが……。


絵本を楽しみ / 世界を愛でる時に、「聞く」っていうのは一つの要素でしかないってことですかねぇ。う〜ん、視界が一気に拓けてどこにいるか見失いそう。


カレー粉がなくたって、こどもたちは想像しながら匂っているかもしれません。でもね、「聞く」っていうことを重視し過ぎている気がするんです。う〜ん、誤解されそう。つまり、「聞かせる」っていうことを重視し過ぎているってことかな。


聞けない人は、絵本の入り口に入れない。っていう無意識のハードルか……。(つづく)



 

鈴木健司(鈴木健司)
関西こどものとも社勤務。よみきかせボランティアサークル三丁目の鷹主宰。兵庫県伊丹市立図書館でよみきかせを学び、以来さまざまな現場で絵本のよみきかせを行う。2022年1月号こどものとも年少版『さんぽにいったバナナ』を福音館書店より出版。

藤田進(ふじたすすむ)
好奇心や探究心をたっぷり使いながらこどもと日々を過ごせるように、そして、こどもとこの地球や社会をどのように分かち合うかを模索しながら、絵本やおもちゃの販売、庭しんぶんの発行、研修事業などを運営中。札幌第一こどものとも社代表。庭しんぶん編集長。3児の父。
 
※この記事は庭しんぶん10号(2018年6月号)に掲載されたものです。

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