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絵本作家に出会うと絵本がわかる

こんにちは。いや〜、絵本は楽しいですね。この写真は、講座6「絵本が生み出されるまで ー絵本のつくり手たちを訪ねるー」の第2回目、講師の鈴木健司さんを訪ねた時に見せていただいた絵本の原画です。 『さんぽにいったバナナ』(福音館書店)の一場面。ドキドキしながら見せていただきました。

この絵本は、福音館書店から「こどものとも年少版」2023年1月号で出版された奇妙なユーモアが魅力の物語です。だって、バナナが散歩に行くんですもん。しかも、そのバナナをヒョウだと思って捕まえようとするおじさん。バナナの戸惑いとおじさんのヒョウへの飽くなき執念の掛け合いが笑いたっぷりに物語が展開していきます。ふと、「どうしてバナナは散歩に行ったんだろう?」「おじさんって、ヒョウ捕まえてどうするのかなぁ?」なんてことを考えたり……。 撮影は、ご自宅のアトリエにて。「狭いですけどぉ」と念を押されながらも、半ば強引に頼み込んでお邪魔させていただきました。どんな所でこの絵本がつくられたのか、お伝えしたいなぁと思ったのです。これもオンラインならではの魅力でしょう。

絵本のよみきかせボランティアサークルを主宰するなど、毎日のようにこどもたちに絵本を読む鈴木さん。こどもと絵本を読む時に自分が好きだったり妙に惹かれる物語ってあります。そして、こどもたちそれぞれにもそういう絵本がありますよね。それが結び合うとその時間って、お互いに心地よい時間が生まれます。鈴木さんの制作秘話などを伺いながら、その時間をひとりでも多くのこどもたちに届けたいという執念にも近いような強い思い(愛)が潜んでいるような気がしたのです。皆さんもぜひ聞いてみてくださいね。


収録後に、近くのこども園にお邪魔して、さっそく絵本を読む鈴木さん。こどもたちが持ってきたのはもちろん『さんぽにいったバナナ』でしたが、それを読み終わったあとに、鈴木さんが不意にこどもたちに尋ねたのです。「このおじさん、このあとどうなったと思う?」と……。鈴木さん本人も、こどもたちの言葉を聞いて、ふと思い浮かんだようで、おじさんの後日談をホワイトボードに書きながら、話しています。やや、これはもしかしたら、次なる物語が生まれる瞬間に立ち会ってしまったのかもしれません。 語り合うということから、日々多くのことが生まれていると感じた瞬間でした。絵本はその語り合いを支えることができる。そこが絵本の価値のひとつなのかもしれませんね。

 

講座6 絵本が生み出されるまで ー絵本のつくり手たちを訪ねるー 子育てに絵本は欠かすことのできない存在です。絵本は保育現場において、こどもたちの生活を下支えし、想像力に活力を与え、こどもや保育者、植物や生き物を結び合わせてくれます。本講座では、そんな絵本のつくり手たちを訪ねます。つくり手がいなければ、絵本は生まれてきません。そして、絵本を読み継ぐこどもたちがいなければ、絵本は残りません。こどもの生活や遊びを軸にする保育現場にとって、絵本は必要な環境です。そして、その絵本は、こどものために物語をつくる大人と、こどもが生きる日常の物語が重なり合った時に、こどもたちの生活の中で豊かな体験として、心に残るように思います。そんな、こどもの心と魂に触れる絵本のつくり手を訪ねて、絵本が生み出されるまでを伺います。




 
藤田進(ふじたすすむ)
好奇心や探究心をたっぷり使いながらこどもと日々を過ごせるように、そして、こどもとこの地球や社会をどのように分かち合うかを模索しながら、庭しんぶんの発行、出版や企画、絵本やおもちゃの店ろばのこを運営中。札幌第一こどものとも社代表。庭しんぶん編集長。3児の父。

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