松本崇史(以下、松):今日職員にさ、「自律、自立、自治、自由をつないでいく園にしよう」と言うたよ。自立とは誰かに依存できることってある人が表現してたけど、「依存」って言葉は正しいのかね。
藤田進(以下、進):「生と死」みたいに表裏一体な言葉だとは思うけど……。
松:依存よりいい言葉がありそうだわ。
進:信頼みたいなことよね。
松:そうなんだよな。信頼のほうが近いが、頼るってことだしね。何で依存なんだろう?
進:これまでの振り戻しじゃない?自立は依存しないこと、みたいなことに対する。「いやいや、依存って必須だよ。ネガティブじゃないんですよ!」みたいなニュアンスが含まれてる。
松:なるほどな。でも依存はネガティブだぜ。依存症って言葉があるんだから。
進:確かに。
松:人は何かに依存するもんだが、それを依存とするかそうでないかは、言葉分わけんと……。と思うのは俺だけか😅
進:いや、合ってると思うけどね。頼るが近い。頼ってもその責任を自分で引き受けるっていうのが自立。自立がある依存は、依存するってことを受け入れて、人に頼るってプロセスよね。これを乳幼児のリアリティに合わせて言語化すると、依存ってチョイスじゃないのかもしれない。
松:できる、できないがわかるってことだけど、できるようになろうとするのが乳幼児期にはどうしてもある。で、最近は頼りきって何もしない子も多い。その中で依存って言葉を使うと、何も促さないという勘違いが生まれやすい。
進:それ、わかる。
松:だから、0歳で信頼関係、1歳と2歳で自立の道じゃん。で、信頼関係って定着しなくて、継続するものなんだから、1歳の時も2歳の時もあるものじゃん。だから信頼関係を常に持ちながら、自立に進むわけだ。
進:うん。
松:そこに依存って言葉を挟むと、ややこしすぎるし、やらない主体性とか言いながら何もしない人も生まれる。
進:そう考えると、乳幼児では、依存ってのは相応しくないんだろうね。思春期の青年には当てはまるけど、それをそのまま保育で使うと誤解が生じる。
松:思春期には依存は大事よ。ないと、なんにもはまれない。言葉のニュアンスって大事だわな。
進:言い換えるか……。あ、精神的な依存とさ、生存的な依存(?)が混ざってるんだわ。
松:はいはい。それはわかるな。
進:依存症は、精神疾患の一部よね。
松:依存症はそうだね。
進:その場合、乳幼児にはそんな診断はされない。
松:そう、されない。この辺の自立に関しては、保育はもっとシンプルでいい気がしてるのだよ。だから、丁寧に関わるのは自立のためなのか何なのかなのよ。自立のために丁寧に関わる。自立が安心とするならさ、安心して自分のことを自分でして、頼るところは頼って、すこしよくなろうとするために丁寧に関わるんだよね。
進:自立の道筋を援助する。
松:みんな勘違いしてる気がしてさ、人生の道を歩むのはこども本人だぜ。頼ることに喜びを感じるのは、根拠のない自分への自信があって成り立つ。
進:頼ることに喜びを感じてもらえるように関わる。安心して、自分のことを自分でして、頼るところは頼って、自立する喜びや快感を十分に味わう、そのために丁寧に関わる。
松:それだよ。それが合ってる。
Comentários