top of page

Q. 仕事が忙しく、なかなかこどもとの時間が取れません。毎日短い時間でどのように関わるといいでしょうか。



A

30代は男性も女性も人生の中で最も活力があり忙しい年代だと思います。父、母、夫、妻、職場など、負っているものが多いだけでなく、やりたいという気持ちも強いからです。そんな中でこどもとの時間を取りたいと願っている質問者をほめたいし、励ましたいと思います。質問文の「毎日短い時間」という言葉を手掛かりに考えてみます。


初めに「たかい たかい」を紹介します。これは大人がこどもにしてやる遊びです。向かい合って、こどもの脇の下に手を入れしっかり身体を支え、「たかい たかい」と唱えながら自分の目線よりも高く持ち上げます。数秒で終わりますが、以下の点を大切にしてやると、よい関係をつくれます。決して放り上げたりはしないこと。しっかり支えることで信頼感が高まります。こどもと目を合わせながら「たかい たかい」をすると、こどもは自分が大人の目線よりも高いことを、声を出して喜びます。こうしてコミュニケーションが図れます。床に降ろした時に、「大きくなったね、重たくなったね」と成長を喜びます。自分の存在を支え、受け入れ、楽しみ、喜んでくれる人を実感するのがこの遊びです。数年前、1歳のお子さんのお父さんにこの遊びを伝えました。その半年後に、「息子は私が帰宅するのを玄関で待っていて、両手を挙げ『たかい たかい』を求めてくるんですよ」とうれしそうに話していました。


次は、朝の15分間の散歩です。こどもと2人だけで散歩します。目的地まで行くための散歩ではなく、こどもの気持ち、こどもの興味、こどもの速度に合わせる散歩です。何かを見つけたらそれを一緒に眺める。抱っこと言ったら抱っこ、おんぶと言ったらおんぶをしてやる。話しかけられたら話し終わるまでゆっくりと聞く。こうすると時間は短くてもこどもは満足します。私がこの散歩をしていた時には、戻る時間が来たら家まで肩車をしました。お父さんの肩の上から見る眺めは特別です。そして、翌日の約束をします。あくまでも2人だけの散歩、兄弟がいたら1週間交代にします。


忙しい中で工夫して時間をつくるのですから本当に貴重です。だからこそ、何よりもこどもの気持ち、こどもの満足を優先します。継続すれば、次第に2人の時間は心地よいものになります。このほかに、絵本を読む時間も楽しいです。毎日が難しければ曜日を決めるのがよいでしょう。カレンダーに〇を付けたりすれば、こどもはその日を楽しみに待ちます。



 

藤田春義(ふじたはるよし)
1954年秋田県生まれ。むかわ町にて保育の仕事を6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。北翔大学短期大学部非常勤講師。札幌国際大学非常勤講師。 ​
 
※この記事は庭しんぶん61号(2022年9月号)に掲載されたものです。

Kommentare


bottom of page