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Q. 幼い時に家族以外で関わる大人の存在は、こどもにどれくらい影響を与えますか?



A

児童精神科医の佐々木正美先生が、「子どもの社会性は、私たち親とよい関係を結んでいる大人との関係の中にいることによって育つ」とおっしゃっています。わが家を例にとってお話しします。毎年、日高の民宿「夢民村(むーみんむら)」に泊まりにいくのが恒例でした。民宿のおじさんとおばさんは、こどもたち一人ひとりにとって、大人としてよい距離感で付き合ってくれるので、居心地がよいのです。裏の薪小屋で薪割りをさせてくれたり、夕食後のお茶の時間には、こどもが興味を持っていることを話題にしてくれます。こどもたちが中高生になった時、一人で、あるいは友達と夢民村に出かけました。それは親を離れて何かを考えたい時なのです。おじさんとおばさんは、親にはできないことをしてくれる特別な大人です。


こどもにとって、信頼できる大人の存在があることは、この社会を生きるうえでかなり重要だと思います。家族以外の人と一緒に過ごして、話をしたり、手伝ったり助けてもらったりして、楽しい経験を通して得られるものが、社会を信頼し、その中で自分の考えを述べたり、行動に移す自信になると思います。


また、こどもたちが私たちが親しくしている友人の家に泊まりにいくこともよくありました。ほかの家に行くと自分の家との違いがわかり、自分を形づくっているものに気付きます。祖父母との関わりも大切です。50歳以上も歳の離れた人を理解するには、一緒に過ごす以外にはないでしょう。困難なことの多い社会ですが、信頼が先立つなら楽しみを持って前に進めると思います。「生きることを楽しめる」、これが家族以外の大人との関わりによって得られるものです。



 

藤田春義(ふじたはるよし)
1954年秋田県生まれ。むかわ町にて保育の仕事を6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。北翔大学短期大学部非常勤講師。札幌国際大学非常勤講師。 ​
 
※この記事は庭しんぶん62号(2022年10月号)に掲載されたものです。

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