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Q. こどもの好き嫌いはなくしたほうがいいですか?



レストランなどで「いやだー!」と言う子に、「食べないと夜にお化け出るよ!」のように、なかば脅して食べさせている家族がいたりすると、そこまでして食べさせなければいけないんだろうか? と思います。


A

「食べること」は、味や雰囲気を楽しみ、動くためのエネルギーと体をつくるのが目的です。どれも生きるために欠かせません。また、食事の習慣は経験の積み重ねでつくられます。毎回の食事を、どんな人とどのような雰囲気で何を食べるのかが、その人の食習慣となります。さて、質問は「食べ物の好き嫌いはなくしたほうがいいですか?」ですが、質問者はレストランでの様子を見て「なんか違う」と思ったのですね。「こどもと一緒に食事をするということはどういうことなのだろう?」というのが質問の真意だと思います。


先に挙げた目的に、こどもの食習慣をつくるということが加わります。赤ちゃんの時の授乳から始まり、姿勢の保持や手足のコントロールができるようになると、スプーンを使い、次にお箸を使えるようになります。それまでの間、大人は口の汚れを拭いてあげたり、テーブルに落ちた食べ物を拾ってあげたりとお世話をします。こどもはさまざまな食べ物を口に入れます。すんなり食べるものもあるし、口から出してしまうものもあります。大人が食べているのを見て興味を持って食べようとしたり、反対に初めてのものは避けたりします。その時にどんな言葉をかけ、どんなお世話をするかが、こどもの食習慣に大きな影響を与えます。


好き、嫌いの言葉で表すのではなく、「これはシャキシャキしているけど少し苦いね」とか「ほくほくして甘いね」「いい香りがするよ」のように、その感触や味わいを言葉にできるといいです。また、初めてのものは一度でも口に含んだらよしとします。次にその食べ物と出会う時に、嫌な記憶が残らないようにします。無理強いされた記憶はその食べ物に出会った時に蘇ります。


何度か同じ食べ物を経験して、自分の中で「もう一度食べたい食べ物ランク」の何番目かに入ります。上位にあるものがメニューにあるとうれしいです。うれしいものがバラエティーに富んでいれば心配しないでしょうが、極端に偏っていたり少ないと心配になります。でも、つくられた食習慣は本人が変えようとしない限り変えられません。お化けも役に立ちません。直すことは思い切って諦めてください。そうすれば食事は嫌な時間ではなくなります。そうしているうちに変わることだってあります。わが家の五男坊はあんこが食べられませんでしたが、成人してから食べられるようになりました。食事がうれしくて楽しい時間であってほしいです。絵本『ぐりとぐら』(福音館書店)の主人公は歌います。「このよで いちばん すきなのは おりょうりすること たべること」。はるよしさんも同じです。



 

藤田春義(ふじたはるよし)
1954年秋田県生まれ。むかわ町にて保育の仕事を6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。北翔大学短期大学部非常勤講師。札幌国際大学非常勤講師。 ​
 
※この記事は庭しんぶん49号(2021年9月号)に掲載されたものです。

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