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Q. 新型コロナウイルスの騒ぎが収まったら、どこへ旅に行きたいですか?



A

コロナが初めて報道された2020年1月末から2月始めに10人ほどの仲間とドイツにいました。若い頃は一人旅でしたが、長女が3歳を過ぎた頃、大変可愛がってくれた友だちの家にお泊りに行くようになったことを機に、夫婦で小旅行に出かけることにしました。料理家の栗原はるみさんが、毎月そのような旅行をしていると雑誌で読んだからです。


旅は日常から非日常へと身を移すこと。流れる時間の質が変わります。ある場面は静止したように。またある場面は超スローモーションで。またある場面は賑やかに人生のアルバムに収められます。そのアルバムは日常を生きる力になります。6人目で長女が生まれ、妻にとっては日常が99%の毎日でした。小旅行は1%の非日常。9歳離れて末っ子が生まれて一時中断はありましたが、年に数回の小旅行はなくてならないものになりました。すっかりお馴染みになった宿もあります。


さて、ドイツ旅行直後にコロナ禍に突入したので、ドイツの日々はより鮮やかによみがえり日常を彩ります。湖畔に面したレストランでの食事とおしゃべり、歩きまわった石畳と石造りの街並み、ミュンヘンからフランクフルトまでの列車の旅、どの1コマも気持ちを元気にしてくれます。まん延防止等重点措置、緊急事態宣言で行き先は狭まり、最近の旅は札幌から小一時間の支笏湖でした。何度もドライブはしていましたが湖畔の翠山亭はいいですよ。湖に面する公園はよく整備されていて写真のフレームの中にいるような場所を見つけました。自宅から歩いて5分程の河原もお気に入りです。サンドイッチとお茶をバスケットに入れて青空の下のピクニック。流れる雲と風にそよぐ若葉、そしてせせらぎの音の中に身を移せば非日常。制限されればされるほど旅への渇望は増すばかりです。人は動物だから移動しないと生きてゆけないのじゃないかしら、などと理屈をこねる日々です。コロナ後はもちろん、もう一度ドイツに行きたい!



 

藤田春義(ふじたはるよし)
1954年秋田県生まれ。むかわ町にて保育の仕事を6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。北翔大学短期大学部非常勤講師。札幌国際大学非常勤講師。 ​
 
※この記事は庭しんぶん47号(2021年7月号)に掲載されたものです。
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