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よもやま保育談議03 保育の視線



藤田進(以下、進):視点って大事よね。こどもや遊びを見る時にさ。保育の視線。これって、どういうふうに養われるんだ? 具体的なこどもの姿を題材にそれぞれの保育の視線を共有し合うとか?


松本崇史(以下、松):それ、難しいんだよね。感覚とか方向性とかが似通ってないと崩れやすい。


:決まったメンバーで定期的にやるだけでも意味ある? 日々の保育の中で仲間同士でできると一番いいけど。「ああ、この人はそういうふうに見てるんだな」とか「自分はこういうふうに捉えてるのか」とか。


:うん、意味ある。その視点を出すだけで価値がある。


:そうそう、「視点を出す」。


:視点があると気づきを起こす。

:こどもの姿を捉えて、感心したり感動ができる視点を持つ。これって超重要な技術だと思う。自分自身にも足りないって感じるし。


:たぶん、名のない遊びがわかるか、なんだよ。これ、うちの0歳児。

















:お、0歳さん。葉っぱでお掃除してるの?


:んー、違うと思う。葉っぱを純粋に楽しんでる。イメージがないからおもしろい時代。


:あー、それそれ。「葉っぱを純粋に楽しんでる」って「ああ、そうかもな」って思う。これ、「視点」よね。正解かどうかはわかんないけどさ(笑)。


:葉っぱをおもしろいと思って持ち帰った保育者が偉い。


:ぱっと見てさ、最初誰かの模倣なのかと思った。あとは葉っぱの価値ね。そこは見えないけど、葉っぱを持ってるのがうれしいんだろうなぁって。そして、ふたりってとこ。


:その模倣なんだけどさ、1歳児は模倣なのよ。んで、0歳児はその前のような気がするのよ。言葉がないんだけど。そうそう、ふたりなの!ふたりとわかるとこなんだよなー。


:模倣のその前。うーん、確かに。


:「何となく」ってことがあるよ。やってることの根拠がいらない。そういうことがないと人になれない。



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松本崇史(まつもとたかし)
鳴門教育大学で保育・絵本を学ぶ。絵本屋を経験し、その後、任天会の日野の森こども園にて園長を行い、ほとんど事務所におらず現場にいながら、こどもたちと遊びを謳歌している。現在、おおとりの森こども園園長。雑誌『げんき』にて「保育ってステキ」を連載中

藤田進(ふじたすすむ)
好奇心や探究心をたっぷり使いながらこどもと日々を過ごせるように、そして、こどもとこの地球や社会をどのように分かち合うかを模索しながら、絵本やおもちゃの販売、庭しんぶんの発行、研修事業などを運営中。札幌第一こどものとも社代表。庭しんぶん編集長。3児の父。
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