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乳児の身体・眼・手の運動発達から考える保育の手立て ①身体の運動発達 新生児から寝返り



この記事は、2023年に配信された野藤弘幸氏による講座「乳児の身体・眼・手の運動発達から考える保育の手立て」第1回目「身体の運動発達〜新生児から寝返り〜」のレビューです。


講師が、床に寝そべって乳児の身体発達の状況を再現しながら、乳児の身体の状態や気持ち、意志や発達課題を事細かくひもといていくという、おもしろく、学びの深いオンラインならではの人気講座。


保育者にとっての基礎的な学びでありながら、教科書では習ったけど、目の前のこどもの発達段階を理解しようとすると、「あれ?」となりがちな、乳児の身体の発達理解。それもそのはず、真面目に学び始めると、身体の運動発達は、体も心も結びついて(乳児の場合には原始反射も)いるから、全体を学ばなくてはいけないし、それらが絡まり合って成長していくから、結構複雑。実践的な知恵になるまでに、継続的な学びと経験が必要な専門分野なのです。でも、わかるとこどものことがもっとわかるようになるおもしろい領域。


『発達障害のこどもを行き詰まらせない保育実践:すべてのこどもに通じる理解と対応』(郁洋舎)の著者であり、作業療法学博士の野藤先生に、保育者にとって、こども理解に大切な、基礎的な部分の身体と手と眼にフォーカスしてお話しいただきました。


第1回目は、新生児から寝返りまでの運動発達。乳児は、胎内から出てきて、へその緒から離れ、呼吸も栄養補給も自分の力を使って生きていかなければなりません。乳児の頃の気持ちなんかすっかり忘れてしまっていますが、講座を聞きながら、筋力も運動機能も未熟な状態は、ずしんと重力がかかって、日々ハードな筋トレをしている状態なのだということに、ふと気がつかされます。


うつ伏せの状態で、首を左右に動かしたり、反って前を見ようとしたりすること、首が座るとはどういうことなのかと、おもしろおかしく、そしてしっかりと説明してくれる野藤先生の講座を聞いていると、大人から見るとほんのささいなことも、乳児にとっては生きるか死ぬかの一大事だったり、ただ機械的な運動をしているわけではなく、その赤ちゃん自身が周囲に対して抱く、知的な好奇心や生きようとする意思が、その運動を支える原動力になっていることが見えてきます。


生まれたばかりの乳児の時から、私たちは「なんだろうな? 知りたいな?」という知的好奇心を原動力に、世界に出会っていく。運動発達を理解することも大事だけど、まずは、その原動力になるこども自身の意思に気がついて、それを大切に養い守ること。そこを軸に援助をしていくことで、運動発達がよりはっきりと理解できることに気がつかせてくれる。そんな第1回目の講座です。


野藤先生によると、「首が座る」というのは3つのことができている状態だそうです。さて、その3つって何かわかりますか? 3つの動きにそれぞれ3つの意思が働いているという説明は、とても深く納得させられたのでした。


一人ひとりのこどもを理解するために役立つ実践的な講座です!

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