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Q. 絵本は作者名も読んだほうがいいですか? また、わが家では始まりと終わりに拍手をしていますが、どう思われますか?



A

絵本の質問はうれしいです。1つ目の質問ですが、私は作者名と出版社名も読むことにしています。それは絵本をつくった人がいることを、こどもたちに知ってほしいと思うからです。最近は野菜も、生産者の名前や顔写真を付けて売っています。つくった人の技術や気持ちが伝わることは、そのものの価値や安全性の目安にもなっています。絵本の場合は、ある絵本の作者がほかの作品を手がけていたり、新しい絵本が出版されたりすると、作者名を知っていることでその作品に出会うチャンスが広がります。出版社名も同じです。同じ作者、同じ傾向の絵本を出版していることがわかることで、絵本に関する情報が豊かになります。本屋さんや図書館で幼いこどもの口から、絵本の作者名や出版社名が飛び出してきたらすてきだなぁと思います。


私は仕事柄大好きな作品の作者にお会いする機会があって、創作過程や創作姿勢を知ることで、作品も作者もそれまで以上に好きになります。また、出版社宛てにお手紙を出すと返事をくださる方がいて、それを大切にしています。


2つ目の質問については、それぞれのお家の絵本の始まり方、終わり方があっていいと思います。こどもが中学生や高校生になって友達と「うちはこうだったよ」などと話せたりしたら楽しいです。とにかくお家で、お母さんお父さん、お祖母ちゃんお祖父ちゃん、あるいはお姉ちゃんお兄ちゃんに読んでもらえることが、すてきで幸せなことです。


ただし、保育の場面で読む時には、しつけのようなことはしないでください。読む前にこどもに「お願いします」、読み終わったら「ありがとうございます」などと言わせないでください。あくまで楽しむことが目的です。姿勢を崩したり、よそ見をしたら注意するなどしないでください。そういう雰囲気は楽しさを奪ってしまいます。ほかの人の妨げにならない限りそっとしておいてください。その子なりに聞いています。楽しければよく見て、よく聞きます。むしろ「よく見て、よく聞いてくれてありがとう」が私たちの言葉であってほしいです。


 

藤田春義(ふじたはるよし)
1954年秋田県生まれ。むかわ町にて保育の仕事を6年余り経験し、その後、札幌第一こどものとも社に勤務。1996年に絵本とおもちゃの専門店「ろばのこ」を立ち上げ、育児教室を開催してきた。北翔大学短期大学部非常勤講師。札幌国際大学非常勤講師。 ​
 
※この記事は庭しんぶん68号(2023年4月号)に掲載されたものです。
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