娘が「鬼って怖いの?」と祖母に質問をし、「鬼は自分の中にいる悪いのを持っていってくれるよ」と答えると、「じゃぁ鬼はいい人なの?」と娘が……。
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まず3歳のお子さんにお答えします。あなたの思ったとおり鬼は怖いです。頭には角、口には牙があるし、目もにらんでいるようだし、体も大きい。虎のパンツをはいて金棒を持って、大きな声で歌うこともある。でもね、絵本やお話には、『泣いた赤鬼』みたいに優しい鬼がいたり、『桃太郎』では、鬼たちはやっつけられてしまいす。また、『だいくとおにろく』(福音館書店)では自分の名前を言い当てられて消えてしまいました。だから、怖くて強い鬼ばかりではないことがわかります。これからいろいろな鬼の出てくる絵本を読んでもらったり、お話をしてもらって、たくさんの鬼に出会ってほしいです。それからまた鬼のお話をしましょう。
次に質問をくださったお母様に、3歳くらいの人たちがお話に出てくるモノたちをどのように受け止めているかについてお伝えします。娘が3歳の時、保育園の節分の日に、鬼が怖くて保育園を休みました。僕はこどもを怖がらせるのは反対なのです。なぜかというと、3歳のこどもはお話の世界を、本当にある世界だと受け止めているからです。だから「柱の後ろにお化けがいる」と言えば、怖くて近づけなくなります。そんなこどもの前に、あの怖い鬼が出てきたら、どんなに怖い思いをするでしょう。想像しただけでもかわいそうでたまりません。
僕には苦い思い出があります。同じ娘のことですが、京極町のふきだし公園に行った時、そこにはつり橋があって、ふと『三びきのやぎのがらがらどん』(福音館書店)を思い浮かべ「誰だ、おれの橋を渡るのは 」と言ってしまったのです。娘は橋の下にトロルがいると思い、橋を渡れなくなりました。抱っこをして回り道をし、やっと向かい側で待つ家族の所へ行けたのでした。だからできるだけ怖がらせないようにしてほしいです。現実に会うことができないモノたちには、絵本などで出会わせて、こども自身が自分で理解するのを手助けしてあげてほしいと思います。
最後にご祖母様に。お孫さんとの会話を楽しんでいてすてきです。もしもお孫さんの突っ込みに窮したら、「大人にもわからないことがあるのよ」とあっさり切り抜けてください。そういう大人の答えもこどもにとって救いになる時がきます。
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