こどものとも0.1.2. 2024年8月号
ころころ ただいま
古内ヨシ
うれしい気持ちを交わし合う
緩やかな坂を転がってくる身近な食べ物たち。顔がついていて、「ころころ ころころ」転がって、次のページをめくると、目指したところにたどりつき、「ただいま」と満面の笑顔になります。どこかを適当に転がっているわけではなくて、たぶん家への帰り道なのでしょう。家に帰って「ただいま」という言葉を「かえってきたよー、うれしいよー」という気持ちを繰り返し、楽しむ一冊です。
出てくるのは食べ物たちで、お父さんなのかお母さんなのかは、どちらともとれます。娘と読んだ時は、「お父さん」「お父さん?お母さん?」と尋ねられましたが、身近な人や読み手に、その姿を重ねているのでしょう。「どっちだろうね?」と返すと、「おとうさん」とのことでした。読み手が自由に想像できるところもいいところです。
挨拶には、相手に対する気持ちと願いが込められています。こどもたちは、それを周りの大人たちを見て、まねをしながら、学びます。気持ちの込もった挨拶の姿があることがとても大切です。
☆こぼれ話
僕は、家に帰ってこどもたちに会えるのが楽しみです。一緒に住んでいる間しかその楽しみはありませんし、とてもうれしい気持ちになります。相手もその気持ちでいてくれると、もっとうれしくなります。こどもにとっての、会いたい人に会えた時の喜びの気持ちを想像してみてください。身近な大人がその気持ちを同じように感じて、気持ちを交わしてくれること。これはその人にとって、とても大きなことです。
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