こどものとも0.1.2. 2021年8月号
あっちから こっちから
山崎杉夫 さく
繰り返し楽しむということ
今月の『あっちから こっちから』は、何度も「読んで!」と言われる絵本です。繰り返し楽しみたい要素がたっぷりあります。繰り返し楽しんだならこどもの中に何が起きるのでしょう。
小沢健二さんの父、小沢俊夫さんは「健二には、『3匹のやぎのがらがらどん』を1000回以上読んでやったから彼はいい音楽をつくるようになる。がらがらどんは音楽的にできているから」と語りました。音楽家になるかどうかは別にして、言葉に対するセンスやコミュニケーション力が磨かれることは間違いありません(ちなみに指揮者の小澤征爾さんは小沢健二さんの叔父です)。
この絵本の魅力の1つ目は、大好きな車が主人公であること。動く、走るということが魅力的なのです。2つ目は、日常と絵本の世界がつながっていることです。今見たばかりの車と絵本の場面が重なるので、うれしい、楽しい気持ちを感じます。3つ目は、読んでくれる大人が「あっちから なにか くるよ なんだろう?」と問いかけてくれる。赤ちゃんは間もなく自分から「ブーン ブーン」と声を出すようになるでしょう。
読み方アイデア
日常の場面でも再現します。お散歩で交差点に立ち止まり、「あっちから なにか くるよ」「こっちから なにか くるよ」と遊んでください。まだ話せない赤ちゃんもこのやりとりを楽しみます。
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