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それは話し合いではなく、けんかなのですね? 「人間」は、人の間(あいだ)と書きます。人と人はさまざまな関係を結んでいます。その関係の結び方がその人の生き方になると聞きました。親子、兄弟、友達、先生と生徒、それぞれどんな関係を結ぶのか、ということです。お父さんとお母さんの場合は夫婦。これはとても重要な関係です。この関係が上手くいっていると周りの人たちは安心ですが、そうでないとなかなか大変です。
関係は言葉のやり取りです。言葉は気持ちと一緒に相手に伝わります。相手の気持ちを考えながら、よい関係を結ぼうと言葉を選べばけんかにはなりません。ところが、気持ちを無視して話すと相手は大抵嫌な気持ちになります。お互いにそれをやり合っているのがけんかです。キャッチボールに例えると、相手が取りやすいボールを投げればお互いに楽しめますが、近くから強いボールを投げられたら取れません。「なんだこいつ!」と、さらに強いボールを返す。そんなやりとりは楽しくありません。
さて、楽しいわけでもないのに、なぜけんかを繰り返すのでしょう? 怒り、悲しみ、イライラなどの整理できない気持ちを、言葉と一緒にぶつけるのが癖になっているからです。これくらいはいいだろうという甘えや、見下した気持ちで言葉をかけると、相手は傷つきます。よく切れる刃物のよう。「大人なのに!」と思うかもしれませんが、大人も感情をコントロールするのは難しいのです。穏やかな気持ちでいる時に、強い意志と賢さによって、嫌な気持ちになった時のことを話し合って整理する必要があります。
夫婦げんかをしている時、こどもは怖くて止めることも、どちらかに味方することもできませんね。親は自分たちのことで頭がいっぱいで、こどもの気持ちに気づきません。僕もこどもの頃にそういう経験をしたので、夫婦げんかは絶対にしないと決めて結婚しました。そうして40年を迎え、先日君への答えを考えながら妻とこどもと話していました。「けんかしないのは譲り合っているから?」とこどもに尋ねられて、ほぼ同時に「俺だよ」「私よ」と答えたので、顔を見合わせて笑ってしまいました。「相手が譲ってくれていると思えたらもっとすてきなのに!」と妻が言い、僕も同感でした。
そうそう、お父さんとお母さんは君の見ていないところで仲直りしていることもあります。けんかだけでなく仲直りの仕方も見せてほしいですね。さて、君に提案です。少しばかり勇気を出して、君の気持ちを一言書いて、この新聞と一緒に、お父さんとお母さんに渡してみてはどうでしょう。
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