こどものとも0.1.2. あおむしくん
HOW TO
親子へ絵本を手渡す 〜こどものとも0.1.2.を用いた育児支援〜
『絵本 ーこどもと語り合う道具ー』(庭プレス)より抜粋
絵本を活用した保護者への子育て支援にはさまざまな方法がありますが、ここでは0歳児を育てる保護者に向けた子育て支援をご紹介します。目的は、園で乳児と絵本をたっぷり丁寧に楽しみ、それを保護者と共有し、家庭においても0歳児と絵本を楽しむ経験をしていただくことです。
0歳児クラスに特化する大きな理由は、絵本を読み合うことで「赤ちゃんと心が通う」「喜びを分かち合う」経験をすることが、保護者にとって、ことさらに赤ちゃんにとってはなくてはならないものだからです。その後の親子関係やこどもの成長の土台にもなります。以下に簡単に「こどものとも0.1.2.」を使った育児支援の方法を記載します。
-
毎月園の予算で、0歳児の人数分の絵本を購入します。子育て支援の予算と考えてください。絵本は、乳児のために考え抜かれた新刊が毎月安価で届福音館書店の「こどものとも0.1.2」をお勧めします。
-
それぞれのこどものマークなどを付け、その子の絵本だとわかるようにします。クラスに数冊ではなく、同じ絵本が人数分あることが大事です。
-
月曜日から金曜日まで、毎日園で一対一で読み、週末は持ち帰って家庭で読んでもらい、月曜日にはまた園に戻してもらいます。それをひと月の間繰り返し、月の終わりには絵本をプレゼントします。保護者には入園時にその趣旨を伝えておくといいでしょう。
保育者は、こどもと心を通わせることを第一の目的として絵本を読みます。一日の中でこどもと一対一で意識的に向き合う時間は意外に少ないのではないでしょうか。毎日その時間だけは、その子の絵本をその子のためだけに読む。そのことに大きな価値があります。クラス全員が同じ絵本幾度となく読むことで、同じ言葉を共有し、同じ気持ちを共有することになります。この気持ちのつながりは、日常生活のさまざまな面でよい影響を与え、一人ひとりのこどもたちをつなげていきます。
また、保護者に絵本を手渡す時は、園でのお子さんの様子を伝えるきっかけとなり、保護者にとっては家庭での様子を伝えるきっかけとなります。保育者と保護者の間に共通の話題が生まれることは、お互いにとって励みになることでしょう。
この方法は、日常の保育活動と家庭への子育て支援を結び付けているのです。毎日の関わりを一カ月、一年間と積み重ねていけば、保育者とこども、こどもとこども、保育者と保護者、そして保護者とこどもを日常のあらゆる場面で結び合わせていきます。親と子が相互に心を通わせるという行為。これは親子の幸せの形だと思います。


